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2016年12月20日

待ちわび色、どうしても見たいもの、玻璃の花ーYOI11話、最終回直前の巻ー

 
 青春18きっぷで京都に行ってきた。日帰りで。香川からのりかえ4回片道5時間半。天気もよく車窓からのひざしも心地よく、音楽を聴きながらのんびり電車に揺られて。

 ユーリ最終回を前にしたいま、思い出されるのはいままではまったてきたもののこと。始まりがあって終わりがあって。どきどきしながらたのしみに、ちょっとさみしくすこし怯えながらその日を待ってたっけなぁって。

Coccoの活動中止のときも、
炎の蜃気楼が完結したときも、
コードギアスの最終回も。

 
 最後の作品に触れてからの気持ちはばらばらだったけど、待ちわびてる時の色のイメージはおんなじだったなぁ。スモーキーブルーだ。夕方と夜の境目の色。つめたくてさびしくて静かにくすんでる大好きな色。

 ところがいまはもっと光が射すかんじ。たのしみの分量のが多くて、ほわっとあったかいかんじ。作品そのものが深い闇を抱えていないぶん、そんなにおそろしいことにならないだろうし、わたしはこれからもしばらくのあいだ楽しむ気まんまんだから。

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 ユーリ11話はファイナリスト6人のSPをコンパクトに20分ちょっとにまとめててすげぇ、職人技!と思った。これは…フリーどうすんだ…おさまるんかって一抹の不安がよぎる。オタベックだけまだフリーみてないから、ほかの人たちよりちょっと尺長そうだけど。

 前回の作文でジャンプの構成変えるのかーってしみじみしてたのはフリーのこと想像してたんであって。まさかショートにフリップいれるなんてなぁ。さすが勝生勇利予想のななめ上をゆく男…おら、ぶったまげただ。全世界に中継されてるなかでペアリングでいちゃいちゃしてたとこ、ヴィクトルの顔がすごくよかったね、あれ。
 
 例の入りは雄々しさMAXバージョンで、カツ丼も美女もどこへやら。コーチといっしょに跳んだ4フリップは残念ながらお手つきだったけど、たとえあそこきちんと回りきって降りててもロシア大会ほどの得点は出なかったんじゃないのか。ほかの構成そのままだったっけ?これまでにない険しい表情で悔しがる勇利。氷の上にさらっと落っこちた黒髪。

かたやヴィクトルは勇利ほど落ち込んでない。むしろ試合に出てるのは自分ではないのに、選手だった頃とおなじような気持ちでリンク脇に立ってることを感じつつ、おだやかな心持ちで試合を観てる。

 ほかの選手の演技をみている時にしてもそう。3話温泉オンアイスで勇利がカツ丼美女エロス滑ってた時を思い出してみようヴィクトルの背後に立ってたユリオは、彼の表情を見ていないだろう。にもかかわらずエロスの演技途中で自らの敗けを認めてとっととリンクを後にした。ゆーこちゃんが追いかけてったよな。

「(ヴィクトルの)あんな…
(うきうきるんるんな背中、みたことねぇんだよ!)」


ってさ。リビングレジェンドの背中は特別製?特殊技能?
神様の背中は口ほどにものを言うのか?

 というわけで客席でGFをながめるヴィクトルの背中に、はたして勇利はなにをみたのか。あの人思い込み激しいから…ひとりでどんどんあさってのほうに勘違いしてどつぼにはまりそうだから。それが11話ラストの終わりにしよう発言につながったんだろうけど。

 もうヴィクトルは自分の現役にはこだわっていないように思うし、ユリオの無心で寺で滝なアガペーで世界最高得点を叩き出した演技にも、きっと悔しさなんてみじんも感じていないだろう、むしろ自分が作ったプログラムをしっかり滑りきったユリオには「ワーォ、すばらしいよ、こういうの大好きだよ!」状態だろう。

 失うものはなにもない、ここからがはじまり、たのしく滑るよ!のピチットくん。丸眼鏡にふわふわにゃんこ+突如登場の彼氏だかコーチだかマネージャーだかわからんおにーさんのコンボを決めてきたクリス。憧れのソルジャーとお友だちになったオタベックの迷いなき滑り。魔物につかまって大崩れ(のわりには86点はですぎじゃないか?)したJJ。

 みんなそれぞれの思いを抱えて滑ってる。とても濃い回だった。試合だ!これぞフィギュアだ!って気持ちになるいい回だと思う。ヴィクトルと勇利に視点を置きすぎていなければ、だけど。ユーリリストのみなさんの嘆きっぷりとおびえっぷりにこっちまで涙しそうなくらい。

 わたしユリオの滝行のときの「あ、うん」がすごく好きなんだけどさ。アガペーのあとの「あ、とちゅうから、あたままっしろになってた…」はセットだね。あの声。あの言い回し。すごくいいよ。大好き。

 アスリート描写的には、いわばゾーンに入った状態だったんだろうけど。タイトルがユーリ!!!でOPもヴィクトルと3人で滑ってる以上、ユリオにはそれ相当のお役目が課せられてるはずで。ヤコフコーチがユリオに若かりしヴィクトルを重ね見、記録をも塗りかえた。おそロシアの華麗なる世代交代。無の心でアガペーを滑りきって、ついに子猫ちゃん卒業。素晴らしかった。

 ただ冷静に考えて、現時点でのユリオと勇利の20点もの得点差ってさ、まずひっくり返ったりしないと思うんだよ。いくら勇利が難易度あげたプロを完璧に、そして盛大な加点祭りで得点稼いだとしても。ユリオがショートみたいにジャンプをタノタノしてきたら追いつけ追い越せ状態になる。

 よっぽどジャンプすっぽ抜けるとかプレッシャーで転倒しまくるとか、あってほしくないけどソチのプル様みたいに演技前に故障とか、じいちゃんにもしものことがあって棄権で記録なしとか、そんなことにならないかぎり、やっぱりどうしても逆転は難しいだろう。

 でもね。わたし先週から1話から順番にユーリみかえしてて。やっぱり4話のYURI on ICE誕生秘話回好きなんだよね。海で自分の内面のこと、まわりとの関わりについて話すとこ。雨ふりのなかジョギングしながら「よく表現してくれたよ、ぼくの、どこか勝負弱い人生を…」って曲について思い馳せるとこ。できあがってはじめて耳にしたピアノの音。つむじスイッチ。

 7話もいい。わたしがユーリ沼に足とられてどっぷりつかった回だし。勇利はのフリーのステップの、ヴィクトルの想像を越えられる!のとことかさーあ、何回みてもいいんだよ、好きなのよ。9話だっていい。このプログラムを世界でいちばん愛してるのは僕だ!とかさ。

 でもまだ見てない。勇利があの曲をノーミスできれいに滑りきって、ジャンプもみんな美しく降りて、満足げな感極まる顔してリンクの中央に立ってる姿を。どうしてもみたい。9話でミラちゃんも言ってたもんね。みたいよね、って。

 1話からずっと登場する言葉「グランプリファイナル優勝」はできるならみてみたいけどそれよりなにより。勝生勇利っていうスケーターがおのれのスケート人生を、あの音楽にのせて自分の愛について表現する姿を全部みたい。あのフリーをまるごと見届けたい、それがいまの最大のおたのしみ。

 そんでその結果として、ヴィクトルの世界記録すぽーんと抜いてくれたらもうそれだけで十分かもしれない。金メダルとってもとれなくても。勇利とユーリ、ひとりずつではまだ難しいけどショートとフリーをそれぞれ合わせ技一本で、そのプログラムを振り付けたリビングレジェンドを越えるんだ! それでいこう!


********

 電車ではCoccoの「玻璃の花」をさんざん聴いた。11話ラストで(婚約したはずの)勇利から思いもよらなかったであろう、無慈悲な爆弾投下された気の毒なヴィクトルの心情を想う。大事な大事なフリー前夜にいったいなにを考えてるんですか勇利さん。メンタル激弱なのに!


荒れど撫ぜれど
在るべき風の息吹
強くも弱くも
いずれも君

もうなにもない
引き止めるものはなにも
ただ明日も
君に会いたかった



 強くも弱くもまたいずれも君、が、まさに勇利っぽくて、とどまりたいのにそうできなさそうなヴィクトルの歌かなあって、しばらく前からよく聴いてたんだけど。ほんともう、ヴィクトルかわいそう。でもこのふたりのすれ違いっぷりはちょっと、いやかなり面白くもあるのが困る。感情移入どころかつっこみどころ満載。

 しかしながら、どんなにずたぼろになろうとも、まえに作文で書いた、12/1 「あなたに会いたい、答えはてのひらに ーユーリonICE×Cocco「Snowing」ー」のようになってくれるだろうってひとりで勝手に確信してるので、わたしはまったく心配していない。泣いて笑って、ずっといっしょにいたらいい。


いまはもう、答えはてのひらじゃなく右手薬指に光ってる。



 

posted by 雨屋杜美 | ユーリ!!! on ICE | 更新情報をチェックする

2016年12月15日

勇利のフリーに真央ラフマニノフを想うーYOI11話直前の雑感と12話についてー

 
 ユーリ11話放映まであと数時間。わたしは明日の昼の配信を、もう半日待たねばならん。もちろん明日も仕事だ。楽しむためにはしっかり稼ぐのだ。
 
 せっかくだし、作文にはまとめきれんかった雑感を置いとくことにする。後半はこないだひさしぶりにみたソチの動画をみて思ったことを書きました。


・あの指輪交換については、勇利はほんとーうにお守りとおまじないって思ってて、ヴィクトルはそんな勇利を知ってるうえで、自分のなかにあるあったかい気持ちを自覚しつつも大っぴらにはしない方針をつらぬく、のがいいな。

 本編では恋愛要素なし、もしくはごくごくわずかで、そっから二次創作の方々がぶわわわーっとふくらませてくれた作品をうはうは読むの大好き。だから今回もヴィクトルはともかく勇利は心の底から

ヴィクトルはヴィクトル、ほかに当てはめられる立場も人もいない

って思ってて、ほんとーうにお礼に「ぴったりくる品が思いつかなかった」んだろうな、と。ピチットくんの結婚発言にもあわわわわわってあたふたしてるし。そういうスタンスでわたしは楽しむことにする。


・そんでもって10話のラストにいたっては、もうなんべんみても笑えてしかたがない。いつもおなじタイミングであははははって笑う。ヴィクトルが「ふぁぁっ」って声にならない吐息をもらして頬を赤らめるあの瞬間だ!いいね!これはいいよ!大好きだよ!


・11話予告のユリオのアガペー衣装でのあの表情なに!? じいちゃんにみてもらって完成されたアガペーに対する得点が出たときの、かなぁ


・GFの6人はみんなキャラが濃すぎてうれしいな。いくらでも妄想できるわ。、ここから1〜6位の順位つくんだよね…いや、つくんだよ。どうなるの一体。現実もなんだかんだで羽生チャンハビで順当かと思ってたのが、羽生ネイサン昌磨のどんでん返しだったしな…JJが崩れるのはあんまり想像つかない、あのポジティブ大王様に穴はあるのか。たった1年で無敵になれるもんか?


・勇利SPのエロスは11話で見納め、名残惜しい、すごく。中国大会でもロシアでもFPとちがってクリーンな滑りで自己ベスト絶賛更新中なわけで、本人だって苦手意識もそんなにないだろうしよっぽどのことがなければ3位以内までは食い込むだろう。

最初の入りがどうなるかだよね、流し目→投げキッス→つぎはなんだ? 中盤の手をこう、頭の上でぱーんっするとこ好き。エロス柏手


・9話みてて思ったんだけど、勇利がフリー精彩を欠いたのは、ヴィクトルの不在がどうのこうのより、自分の出番のまえにほかの選手の演技観すぎたからでは。集中力が散漫になっちゃっただけなのでは。とさいしょにみたときから突っ込みたくてしかたなかったが、そのおかげで「ユリオよりぼくのほうが体力あるんだよ、ばーーーーか」ジャンプがみれたから、まいっか。


・ユリオのジャンプっていったら、フリーの「くそがぁぁぁぁぁぁぁ」から入るコンビのとこ好き。ふたつめのとこエッジ深くで踏み切るやつ。軸がめちゃくちゃ傾いてるやつ


4話のつむじスイッチのとこ、あそこが勇利とヴィクトルの関係性が変わった瞬間じゃないかなあ。とくに勇利の気持ちが切り替わった場面じゃないかと思ってる。勝手に。神様じゃなくて、ただのヴィクトルに。憧れてた手の届かない天上人じゃなく、自分のかたわらにいてくれる生身の人間として認識できたっていうか。好きなんだ、あそこ。


・骨フェチさんとしては勇利の美尻よりも鎖骨から首筋にかけてのラインに着目している。とくにフリーは仰ぎ見るポーズや、首を反らしならすーっと後ろに滑るシークエンスが多いから眼福さ!ふはははは!


***ここから12話展望です


 中四国九州大会、中国大会、ロシア大会。勇利はFPをまだ一度もきれいにまとめていない。ジャンプはすっぽ抜け、お手つきし、オーバーターンにコンビミス。にもかかわらずジャンプ構成上げるのか、さすが崖っぷちスケーターだな。(ほめてる)

 わたしがフィギュアでいちばん好きな要素はステップ。7話、9話それぞれがわたしのなかでけっこうな重要回になっているのは、プログラム内のとくにステップでの勇利のモノローグがとくに印象に残っているからのように思う。もちろんそれが生まれた4話も好きだよ。

 おそらく12話ではYURI ON ICEにのせて、勇利がこれまでのスケート人生を振り返るんだろう。そしてわたしたち視聴者は1話からそれまでを共に噛みしめるんだろう。

 まだみてもいないのに想像するだけで涙がにじむのは、わたしが勝生勇利のYURI ON ICEに、ソチ五輪の浅田真央のラフマニノフを重ね合わせてしまっているからだ

 浅田選手はSPで立て続けにミスを連発し、世界中の誰もがとまどい言い様のない不安と困惑に沈んだ。そして迎えたフリー滑走の日。メダル争いからは後退し、最終グループですらない。またショートのように失敗してしまったら…あそこから浅田選手がどういうふうに立て直すのか、そもそも立て直すことなんてできるものなのか?固唾をのんでわたしたちは見守っていた。

 そして、あのピアノの低音からはじまったラフマニノフピアノ協奏曲第2番。冒頭のトリプルアクセルを鮮やかに着氷した瞬間、もうわたしはほろほろと泣いてたんだ。

 ひとつ、ふたつとジャンプをきめてゆく浅田選手。のちに、ジャンプのひとつずつをお世話になった人たちへ贈るつもりで跳んだ、と聞いた。ひとすべり、ひと蹴りずつに、じんわりと想いが込められているような、そういう演技だった。

 6種類8本の3回転、すべてを降りて最後のステップに入ったあの時、なんてすごいもの見てるんだろうと思った。こんな滑りを見られるなんて、いままでもなかったし、これからもないんじゃないかなと。この満ち足りた時間がずっと続けばいいのに。

 
「私のいままでの人生が詰まっているんです
うれしかったり、悲しかったり、悔しかったり…
いろいろな思いが込められています」


 この曲を五輪シーズンに滑ると決めたときに浅田選手が言ってた。

 女子のフリーは4分間。このたった240秒に浅田選手はそれまでの人生のすべてをつめこんで、わたしたちにみせてくれた。濃密なスケート選手としての時間を、一個人としての生きざまを、それまで触れて刻まれてきたものを、自分の身体と気迫で音にのせてもたらしてくれた。

 たかがアニメだよ。知ってるよ。でもわたしはきっとユーリonICE12話であの真央ラフマニノフの時とおんなじような気持ちで、勇利の滑りを見守るだろう。

 ヴィクトルが長谷津にやってきてから。一緒にプログラムを作り上げて、試合で滑り、婚約(ん?)し、グランプリファイナルの舞台で最後のフリー演技をするために、リンクの中央に立った勇利をあの日の浅田真央に重ねてみつめるだろう。

 あと1週間。いままでみてきたさまざまな選手を思い巡らせながら、わたしは待つ。

 アニメだけど。アニメなんだけど。


 ものすごくどきどきする。


 



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2016年12月09日

木曜の朝、讃岐うどん、それは恋のはじまり闇の終り ーYOI10話ー

 
 木曜の朝、寝て起きたらわたしのTwitterのユーリリスト(ひたすらYOIの情報や絵が脈々と流れているすてきな場所)がとんでもないことになっていた。深夜に放映された10話の余波だった。
 
 ただならぬことが起きたらしい、ということは理解できた。しかし最新話を確認するにはまだ数時間(dtvはお昼に更新)ある。ここでわたしは選択を迫られた。

 ネタバレを考慮してこのままそっとリストを閉じるか、この流れに便乗して見守るか。

 ふだんだったら即、前者だ。わたしはなにごとも初回がすごく大事で。まっさらなままで作品を受けとりたい、その時の気持ちを忘れずにとっておきたい。しかし!

 リストの人々のあまりの支離滅裂っぷりが、挙動不審っぷりが、屍累々っぷりがそりゃもうすばらしくてさ!好奇心をまったくもって抑えきれなかったんだよね!みたい、この混乱を!!って我慢できなかった。


 状況を察すると「公式がやらかした」「結婚式」「去年のGFのバンケット」「ダンスバトル」らしい。あははは、ほんとに教会だったんだあれ。予告の1カットから特定してた人すごいなー。
 
 わたしはこのアニメが好きだよ。ここまでどはまりする以前からもいい作品だなぁって感じていたいし、そりゃ人気も出るよねって納得だ。しかしただそれだけではここまでのめりこまない。

 本編から派生する二次創作や妄想や語り、これをおなかいっぱい楽しめるかどうかで、その後の日常は色を変える。年単位で喜んだり楽しんだりできる要素はどうしてもわたしの人生には必要で。

 ユーリが好きな人たちの作品や考えも全部ひっくるめてわたしはこの世界が大好きなんだなぁって思うんだよ。会ったことない見知らぬ人たちのおかげで、わたしは今日もこんなに元気です!頭のなかもお花畑です!毎日たのしくてしかたがないよ!

 作家さんどうしなら自分がつくったものをとっかえっこできるだろうけど、わたし自身はなんも生み出せないからありがとうしか言えないや。なんらかの形でお礼ができたらいいなあっていっつも思うんだけど。そういうシステムあればいいのに。遠くから愛を叫ぶしかないね。
 
 そして世界中の何百万人かの人々をこんなにあっといわせた公式のスタッフにも、最大級の感謝と畏敬を。朝起きて、世界がこんなふうに喜びに満ちあふれてたのがすてきだなあって、わたしは思ったから。

 混乱と興奮と動揺にあふれかえってるユーリリスト川をにやにやながめながら、わたしは出かけよう!と思った。気分も天気もこんなに晴れやかだし、電車に乗ってこないだ行きそびれたうどん屋に行こう。ついでに映画もみよう、ケーキも買おう。
 
 ふだん家から出なくてもぜんぜんへっちゃらだけど、なにかしらとくべつな出来事があった時には外出欲がめらめらと高まる。覚えときたいの、ぜんぶひっくるめて。

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 がたんごとんと電車にゆられて、色づいた山の景色をながめる。陽射しがやわらかい。

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ぶっかけ小とかきあげ



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かけ小とごろごろ野菜コロッケ


 やろうと思ってたことを全部こなし、とっぷり夜も更けたころ、わたしは帰り道の電車で10話をみた。

 何度かへんな声出そうだったし、あのラストのヴィクトルには大笑いをこらえるのにマフラーに顔を埋めた。ハチクロだっけ、人が恋に落ちる瞬間をみてしまった、ってモノローグ。あれだなぁ。

 スピッツの「恋のはじまり」って大好きなあの歌をバックに流せばいいです。これはもう恋だろ。公式が発表した見解だからこれにて確定。前回の作文でなんでヴィクトルは勇利にそこまで、ってわたしがあーだこーだ並べ立てた疑問はあっさり解けちゃったよ。

 酔っぱらった勇利に、きらんきらんした眼ですがりつかれながら言われたひとことで、ヴィクトルのスイッチ入っちゃったんだね「ふたつのL、ライフとラブ」を大事にしなきゃっていう気持ちに。そして離れずにそばにいて動画みてぴょーんととんできちゃったんだね。うん。


「このダンスバトルでぇおいが勝ったら
コーチになってくれるとやろ?
ビー マイ コーチ!ヴィクトール!

 
 
 主人公が大酒かっくらってやらかしたまま、それをすっぽり忘れてた記憶のなかにこんな伏線が張られてるなんて思いもしなかったやー。この手法新しいな!おかげで深読みしすぎたよ。ヴィクトルも五体満足だったしライフとラブと婚約指輪を手にいれて、はいめでたしめでたし。

 正直、ユーリリスト川の人々にくらべてわたしの受けた衝撃はそこまで大きくなかったんだな。たぶん視点にどのくらいの腐要素を仕込んでいたかによって、わかりやすく負傷(もしくは歓喜)の度合いがかわったんじゃなかろうか。

 わたし個人としては、勇利とヴィクトルの結婚うんぬんよりも、脇役フリーク心が小踊りしたくなるくらいいろんな登場人物が出てきてくれたのがうれしかった。みんなでごはん食べてるとこ好きだなー。
 
 ユリオとオタベックくんも友だちになれてよかったね。オタベックくんのあの無愛想だけどけして冷たくはない人柄は、リストランテ・パラディーゾのジジみたいだなぁって思ったよ。(過去ログ「岡星とジジー脇役萌えのツボ」はこちら)つまりわたしは彼が大好きです!

 現実世界のグランプリファイナルは男子のSPが終わり、100点越えで羽生選手が首位。アニメと現実を行ったり来たりじゃなくて、並行してどっちもじっくりたのしむスペックがほしい今日この頃。
 


それは恋のはじまり
そして闇の終り
時が止まったりする

それは恋のはじまり
おかしな生き物
明日は晴れるだろう



 




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2016年12月07日

映画館のいちばんうしろで見届けるようなーYOI9話と今後の妄想ー

 
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 ユーリみててわからないことがある。ものすごーくわからない。

「ヴィクトル、どうして勇利にそこまで?」という疑問である。

 なんで1本の動画を目にしたのがきっかけでよ、おそらく家財道具一式持参でそれまで培ったすべてを置いてまで、勇利のいるちっさな島国にひょいっと来ちゃったんだろうかと。

 だってここ数年はおんなじシニアの大会で試合でいくらなんでもみてるよね、勇利のこと。いや興味持ってみてなかっただけ?9話までじゅんぐりみてみても、どうも動機が弱いっていうかリビングレジェンドの思考回路わからん。腐要素でいくらでも補正がきくってのはなしで。

 海外ではヴィクトル死亡説も考察されてるらしいけど、ミツロウ先生も否定してるんでしょ?そしていくらなんでも終盤にそんな爆弾落とさないだろうっていう、逆説のような願望があるので。

 死んじゃわないけど、スケーターとしての寿命が…って流れで考えてみよう。そのぐらいの切羽詰まった感がなければ、前出の「どうして勇利にそこまで?」がしっくりこなくて。


 わたしは王道が好きなんだよ。ハッピーエンドがいいんだよ。でもこのまま勇利がグランプリファイナル優勝して、はいおめでとうなんてそんなあっさり終わるか?ぜったいなにかあるに決まってる!


リビングレジェンド、ワールド終了前後くらいに
体力の限界を実感、もしくはどこかに故障発生
来シーズンは試合でベストな滑りができない可能性高し

もう人々を驚かせられないんだな…ってモチベーションもがくんと低下
(2話でのユリオが言ってた「悩んでた」原因がこれ?) 

ヤコフやユリオは身体の不調にうっすら気づいてる
(からこその「いま休んだらもどってこれなくなる!」
「ピンピンしてんじゃねぇーか!」発言か)

そんななか勇利の動画をみました


 んで、ジャンプの完成度はまだまだだけどそのスケーティング技術に自分とおなじ質を見いだし、世界中をびっくりさせ隊!の後継者として勇利選び、すべてを託そうとしたんじゃなかろうか、と。

 というわけであとはヴィクトル本人に語ってみてもらおうかね。
 はい、勇利に向けてぽそぽそ話してるかんじでね。


「スケーターとしての自分の終わりを感じた時、氷上で自分の思いを表現する術が途絶えるって考えたらどうすればいいかわからなくなった。

 ヤコフにも、支えてくれるみんなにも、ファンにも感謝はしてるんだ。彼らを驚かせたくて、ただただどきどきしてほしくていろんなことをためしてきたんだけど。

 でも、リンクではずっとひとりきりだった。さびしさはなかった、そういうもんだろって思ってた。でもあの動画をみた時、勇利ならおれがみている景色を、人に伝えたいと思う感情を分かち合えるんじゃないかって、はじめてそんな気持ちになったんだ。

 春から長谷津で暮らして、毎日一緒に氷の上で滑って、楽しくてしかたがなかった。子どものころ、スケート靴履いてリンクに立った時、ジャンプが跳べたときのわくわく感を思い出した。

 試合に出るのは勇利ひとりだけど、グランプリファイナルはおれも戦うよ。うん、いっしょに金メダルとろうな。ほんとうはもう勇利はひとりで戦い抜ける力がある、そばにいたい、支えたい、見守りたいと思うのはおれのわがままかもしれない。

 それでもいっしょに作ったあのプロを氷の上でおれもおんなじ気持ちで滑ってるって、それだけは信じて。忘れないでいてくれるかい?」


 こんなかんじかなと。わたしに絵が描けたらまんがにするし、文才あったら小説書くのだが、どっちもないのでひたすら妄想あるのみ


 かたや勇利にとってヴィクトルは「神様」で。ずっと憧れて、目標で、指針で、有利のスケート人生における核をなす存在。それが自分んちで温泉入ってカツ丼たべて、おなか出して寝てるって、なんだそれ。

「ぼくみたいにヴィクトルに憧れて、おなじ氷の上で競いたいって願ってる人は世界中にたくさんいるんだよ。ぼくはヴィクトルにたくさんもらったよ、ほんとはもっといろんなことを教えてほしい、ずっといっしょにいたい。でももう独り占めはできないよ、しちゃいけないんだって思うんだ」

世界にヴィクトルを返さなきゃ


「神様を、ひとりじめするわけにはいかない」「ヴィクトルから与えられた時間も技術も記憶も、なにもかもすべてを、この演技にこめて完成させる」「自分が終わらせなければヴィクトルのこれからが始まらない」とか思ってそう。



「引退まで、ぼくのこと、お願いします!」

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「…プロポーズ みたいだね」


「勇利がずっと、引退しなきゃいいのにな」

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じわっ

「グランプリファイナルで いっしょに金メダルとろ」



 勇利の"愛のようなもの"には終わりが前提にあって、かたやヴィクトルはもってる全部を勇利にあげたいと思ってる。両者の愛についての認識のずれ、考え方の違いからねじれてんじゃないかな9話、って気がする。


というわけで、今後(あと3話しかない)わたしがいちばんヴィクトルに言ってほしいせりふはこれ。


「コーチ代、請求していいかい?…勇利がこれからもスケートを好きでいてくれることだよ。自分の愛を伝えることをやめないでほしい…おれと作ったプログラムをこれからも滑り続けてくれないか?たとえおれがそばにいても、いなくても」


 妄想のいいところは当たろうがはずれようが、楽しいことにはかわりないってことだよね。しばらく頭のなかずっとぐるぐるしてたから。脳の血のめぐりかなり良くなってるはずよ。例のヴィクトルの「コーチとしてこれからできること」ってなんなのかもさーっぱりわからないので、これからの展開がほんとうに楽しみ。

 めでたくグランプリ勝った勇利と、来年競い合うべくロシアに帰ったヴィクトル。来シーズンは劇場版でってのも大いにありでいいのではとも思うけどさ。

 ちなみに腐視点でみちゃうとふたりのあり方が尊すぎてしんどすぎて、これからが心配になる人も多かろうがどうか心をつよくもってほしい。ミラージュの最終巻もな、あれは直高の人たちには、これ以上ない終わり方だったろうけどかなりこたえたろうしな…。


 わたしはいつものように映画館のいちばんうしろの席に座ってるかんじで、事のなりゆきをひっそり見届ける。どっぷり入り込めないのは性分だからしかたがないや。

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ポポさんみたいに見守るよ




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2016年12月03日

ユーリ!!!onICEをみているときのわたしの内側はこんなふう

 

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ユーリ9話をみたあとのわたしの顔こんなだった


 「YURI on ICE」のピアノの楽譜を買ってきた。ピアノ、いま弾けないのに。
どうしてもほしくなってしまった。コンビニですぐ買えるんだよ、便利だねぇ。

 あいかわらず仕事中もこの曲はわたしの内側でえんえんと流れていて、ふとした瞬間には演技中の映像まで再生される。ありがたいことだ。

 わたしの頭のなかは、脳内ポイズンベリーみたいに会議とまではいかないけど幾人かのわたしがいて、このアニメに対する見方をたいへん複雑なものにしている。

物心ついたころから条件反射で、ずっとフィギュアを観てきたスポ根もの大好きなわたし。
伏線回収を待ちながら、重箱のすみをひとりでつっついては面白がってるわたし。
耳から入り込む音楽と映像が、きれいに重なってるのみてほけーっとするわたし。
味わい深い脇役たちの視線でもって、主人公たちをひっそり見守ってしまうわたし。
BL目線であれこれ妄想しながらにやにやしっぱなしのわたし。
そのみんなの意見や思いをうまいこととりまとめて、
これがいまの自分の気持ちだってのを統括してくれるわたし。

 この人たちがいつも、わいわいがやがや、四六時中頭のなかでしゃべってる。すごく楽しそうに。みんなの言いぶんをふんふん聞いてると、なんで自分がこのアニメに撃ち落とされたかがとてもよくわかる。

・実在のアスリートをも納得させる試合描写
・これからどうなるんだろう…という不安と期待感
・音楽とアニメーションの融合、楽曲への興味を誘導
・個性豊かな登場人物たち
・予想のななめ上をゆく腐要素も満載

 これだけ詰めこまれたら、はまらないわけがないんだ。でもはじめからここまで完落ちしたわけじゃない。ひとりずつがうわーって盛り上がっても、ほかの人たちが絶妙に足を引っ張り合った。

 1話でおおっ!スケート描写いいなーってなってもべつの人が
「お肉ぷにぷにした状態で世界王者の鬼プロトレースできるわけねぇだろ」とか言うし。

「なんでグランプリファイナルが最終目標なんだ
全日本出て世界選手権で優勝じゃないんかそこは」とか。

入浴シーン多くて骨フェチとしてはうれしいわー眼福眼福〜ってなっても
「BLを撒き餌に腐女子を大量に捕獲するつもりにちがいない!!どんとこい!」とか。

「勇利のお金関係大丈夫なのか
いくら家業手伝ってるとはいえそこまで忙しそうにはみえないし、
ヴィクトルのコーチ代は出世払いでいいったって
遠征費用とか身体のメンテナンスにだってお金は必要だろうし、
スポンサーもついてなくてやってけるのか…おばちゃん心配だよ…」とか。

 そういうね、しょーうもないとこがどうしても気になってブレーキがかかってた。それが見事にふっとんだのが7話だったのね。すごい威力で脳内のわたしたちは全員一丸となって押し流された。あの勇利のぼろ泣きがきっかけだったなー。そっからフリー滑ってヴィクトルがやっちまってユリオがボルシチよ。ふははは。

 レッツゴウ、底が見えないほど深いユーリ沼にようこそ。
 
 音楽の力がとてもつよく働いたのはいうまでもない。うだうだいう理屈屋も、スポーツ観戦脳も、声優さんとかにはまったくくわしくないけどアニメみるのは大好きなんですって人も、もちろんヴィク×勇利だけどじゃあユリオはどうすんだ勇利は総受けなのかどうなんだとのたまうお腐れさまも。

 いまじゃみんななかよくユーリ沼の住人だ。
 YURI on ICEの調べにのって、毎日あれやこれやかしましい。

 9話もおとといみたんだけど。みんなそれぞれ言いたいことがあるらしいのでもすこしほっとこう。ただ、わたしはいままでたった1話25分弱でここまで泣けて笑えてうひゃーじわーってきたことがない。
 
衝撃度では7話が断トツなんだけど、考えさせられる点では9話につきる。視点をどこに置くかで受け取り方が全然ちがう回だと思う。スポーツ脳か伏線脳か腐れ脳かでまったく物語が変わってきそうで。

 いくら考えようが不安にかられようが喜びで踊り出そうが、リアルタイムでああだこーだ言えるのもあと3回だから。
 

 考え思い馳せるこの時間も、じっくり味わおう。
 



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2016年12月01日

あなたに会いたい、答えはてのひらに ーユーリonICE×Cocco「Snowing」ー

 
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 物語は音楽といっしょなら重ね重ねたのしめる、とわたしはつねづね思っていて、なにかにはまったらすぐ知ってる歌とあれこれ組み合わせてみる。そうやって小学生のころからひとりでにやにやむふむふしてきました。

 さて、ユーリにぴったりのあるかなあと、昨日スーパーに行く道すがらウォークマンで歌を聴きながら歩いてて。たいていランダムでかかるからだれのどの曲がくるかはわからない。

 郵便局の前をすぎて流れてきたのがCoccoのSnowingって曲だった。

 ピアノのイントロが好きなんだよなこれ。映画「最後の命」の主題歌だそう。しっとりした音でまとまってるけど、こっこさんにしてはめずらしく日本語の詞のなかに英語を混ぜてきている。わたしは英語達者じゃないから日本語なら日本語、英語は英語でっていうこっこさんの歌の分類がけっこうありがたかったんだけど。まあ、それはおいといて。

 長い雨が降ったね、とはじまるSnowingは「いろんなことがあった。うまくいかないことだらけ。どうしたらいいか全然わからなくて、暗闇をとぼとぼ歩いてるみたいだった。でもすこしずつ光を照らしてくれてありがとうね。これからはずっといっしょにいよう。約束する。きれいなものをみよう、季節を指折り数えよう。心と心を寄り添わせて、どうかずっとそばに」って歌だ。たぶん。

I promise you, baby
I’ll never let you down again
ここにいて
胸の高鳴りをいつも触って
I promise you, baby
I’ll never let you down again
背中にまわした手を 肩を抱くこの手を
つないで

夏色 駆ければ
燃えるような 山嵐
花雪 ひらひら
灯すよ
もう春だって

心と心が
やさしい ありがとう
あなたに会いたい
答えは てのひらに


 わたしはまだ9話をみていないから、マッカチンのために日本に帰国したヴィクトルと、ひとりでフリーを滑りきる勇利がどんな気持ちでいたかは知らない。結果も知らない。でもさ。

「初めて自分から繋ぎ止めたいと思った人
それがヴィクトルです

その感情に名前はないけど
あえて『愛』と呼ぶことにしました」


 5話の記者会見の勇利の台詞。いいじゃない。もう繋ぎ止めちゃえ、ずっといっしょにいたらいいよ。

 メンタル激弱でいつも自分を出しきれず終わってたどん底の勇利と、勝ち続けて人々をびっくりさせてきたけど虚無感でいっぱいになっちゃってたヴィクトルが、互いに光を見出だして。

 この曲の最後の、あなたに会いたい、答えはてのひらに、ってとこがさ。もうかなりぴたっときた。勝手にテーマソング認定。これでまた、たのしみふえた。ユーリもあと4話で終わっちゃうけれど、歌聴くたびに自動で脳内再生だ。

 何度でも何度でも、思い出すからもう大丈夫。

 さ、もうすぐdTV更新の時間だ!9話だ!
 
 

posted by 雨屋杜美 | ユーリ!!! on ICE | 更新情報をチェックする

2016年11月29日

1日50時間ほしい季節について ーユーリ!!! on ICE7話ー


 それはある日とつぜんやってくる。

 何年かにひとつずつ、好きなものに集中し考え、泣いて笑ってぎゃあぎゃあいうあれ。そう、どはまりシーズンの到来だよ!
 前回は競馬だったが今度はアニメだ!ユーリ!!! on ICEだ!


 このブログも放置したままはや3年半。大好きな逃げ馬のシルポートも豪GT勝っちゃったハナズゴールも、愛すべき暴れん坊将軍ゴールドシップも引退しちゃったよ!ウキヨノカゼはまだがんばってるよ!

 このうぐいすと雨風はかつてコードギアスにはまった際、思い余りすぎて作った。とっておきたかった。こんなふうにみたよ、受け取ったよって残しておきたかった。ミラージュもギアスもお馬さんもじわじわと頭からしっぽまで温泉つかるみたいに好きになっていったから。終わってから何年たってもおたのしみは続いている。ああ、ひさしぶりだなあ。うれしいな。



 というわけで、ユーリ!!! on ICEは10月から放映されてるフィギュアスケートのアニメ。前評判も高く、初回が放送されるやいなやわたしのTwitterのフィギュアのリストはユーリの話題一色になった。

 いまわたしは実家のある宮城ではなく10年住んだ京都でもなく、四国のうどんがおいしい県で働いている。住まいは会社が用意してくれた寮だけど、ネット環境がないからタブレットで動画をばんばんみられないのがもどかしい。ユーリもdTVで、職場にWi-Fiあるから毎週地道に落としてみてる。1クールだから12話でおわり。あっというまだよ、ギアスなんて50話あったのに。しかもまだ続くらしいのに。びっくり。

 試合に負けシーズン終盤まで戦えずに終わった主人公・勝生勇利が故郷の長谷津(唐津がモデル)に戻ったのが1話め。フィギュア男子の世界王者として君臨するヴィクトルが押しかけコーチに就任、ジュニア王者のユリオがやってきて勇利に勝負をふっかけ、勇利がショートとフリーのプログラムをそれぞれ練り上げて…と、ここまでが4話。


5話が国内大会、6話がグランプリの中国大会SPで。あーユーリおもしろいなぁ…OPのディーン・フジオカの歌いいな、早送りなんかぜったいしないでヒッソーリ〜て口ずさむくらい、だったのまだ。それがみごとひっくりかえったのが!先週11月22日だった。

 早朝の大きな揺れのあと震災以来の津波警報が発令され、かつて津波の被害にあった石巻のばあちゃんちはみんなで高台のお寺に避難した。震災のときは逃げようとしたそのタイミングで津波がむこうからやってきて、退路を断たれ自宅の2階かけ上がって無事だったの。今日も大丈夫だとは思うけどやっぱりこわいから、と。

 午前中はどこの局も津波のニュースばっかりで、みなきゃいいのにずっと見続けてしまったあとわたしはずどーんと落ち込んでしまった。震災の時のあの、東北がずたずたに痛めつけられてるのになんにもできない、家族や友だちの心配しかできないやるせなさを思い出して。気はふさぎ体までどっしり重くなったようで、このまま仕事いくのやだなあって。

 そんななか観たのがユーリ7話である。

 7話はネット上でも早々に話題になってて、こりゃたのしみだー…って思ってた回だった。仕事のまえにわたしはなんとしてでも浮上したかったんだ。

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 6話のグランプリ中国大会SPで首位に立った勇利は極度のプレッシャーに押し潰されそうに。すっかり挙動不審の勇利に対しヴィクトルは荒療治に出る。勇利が表彰台に載れなかったらコーチやめるよと(と、どっちも実際は思ってもない言葉で”壊され”)突き放された勇利がぽろぽろ泣き出す場面がさーあ、どまんなかにきた!
 
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「僕が勝つって僕より信じてよ!
黙ってていいから離れずにそばにいてよ!!」

 
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 勇利のこの、魂むき出しの台詞からからフリーを滑り終えるまでがさ、好きすぎてわたしいったいなんべんみただろう。人が感情を吐露してそれを誰かが受け止める場面大好物だよ!

 はなかんでティッシュおとし→つむじをぎゅーからのポンポン→滑り出した勇利が。

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泣いたらすっきりしたな…
僕が急に泣き出したときのヴィクトルの顔、おもしろかったな

 ミナコ先生のあの言葉にならない喜びと期待をブレンドした奇声はわたしもよくあげる。てかたぶん7話みながらあんなふうになってた人たくさんいるんじゃないか。7話で壊れたのは勇利のガラスの心じゃなくて、視聴者の自制心ではなかったか。

コーチとして未熟過ぎるんだよ、ヴィクトルは
僕がメンタル弱いのなんて今に始まったことじゃないんだからさ
このぐらい覚悟しててよね

(くるくーると助走)

ヴィクトルのばか!!

(で4サルコウきれいに着氷)

あ、とべた

 どうしても1話目でぴんと来なかったのがさ、いくらひと足はやくシーズン終えたからっておなかぽよよんになっちゃうほど肥えた選手が、ヴィクトルの超難易度高そうな鬼プログラム完コピできるか?っていうつっこみたくないけどつっこんでしまいたくなる疑問がだな、あったわけよ。そんなくわしくはないけど長年フィギュアみてきた者としては。

 でもこの中国大会のフリーみてたらさ、あたりまえなんだけど1話目と全然ちがうんだもの、勇利の身体の線が!ああもうなんてきれいなんだろう、と。ほけーっと見とれた。アニメだけど、アニメなんだけど。実際の試合で氷上で滑ってるアスリートをみてるような気持ちで。

もっと強くなりたい
もっと強くなれる
僕は
ヴィクトルの想像を越えられる!


 ここ、ピアノの音が流れるなか勇利の独白のあいまにヴィクトルの眼差しが入るわけよ。ステップ踏んでる勇利の汗が小雨みたいに散って、夢中で応援してる観客の表情と。ふたりのそれまでとこれからについ思い馳せてしまう数十秒。はらはらっと涙が出た。

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 演技終了後にキスクラに爆走するヴィクトルと、すいすいすーいと滑ってく勇利と。がばあっと抱き合って全世界がぶったまげたキス。いや伏線はあったんだ。勇利が泣き出すあの直前に「キスでもすればいいのかい」とか言ってたんだヴィクトルは。ちゃんとつながってんだ。有言実行の漢ヴィクトル。

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「勇利以上に驚かせる方法はこれしか思いつかないよ」
「あぁ…そう…」


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 なんなのその王子様お姫様の構図!なんなの「…そう」って!2文字?!たった!ほかにもっと返しようがあるだろうが勇利!滑り終えたばっかで疲れててそれどころじゃなかったか!2位おめでとう!!4フリップ認定もおめでとう!!がんばれロシア大会。

 そしてユリオの(たぶん数日のあいだ確実に売り上げに貢献したであろう)台詞で7話はしめくくられる。

「モスクワでボルシチにしてやるよ
この豚野郎が!!!」


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 わたしは7話をみたあと、制服を着て意気揚々と仕事場に向かった。すっかり気が晴れていた。働いてる間も頭のなかで、勇利のぼた雪みたいな涙とかつむじとかばか!とか越えられる!とかキスクラダッシュとかおぉヴィクトルはちゃんと勇利の後頭部が氷にぶつからないように守ってたなさすがだなとかずっと考えてた。

 そして身体の内側ではフリーの曲がえんえんと繰り返し鳴ってた。

 どうしていきなりスイッチ入ったみたいにわたしはこの作品に入り込んだんだろう?そりゃ7話の破壊力のなせる技だったのはたしかだ。震災の記憶でふさいだ気持ちを引っ張りあげてくれた恩も感じる。でも数日のあいだ1話からじっくり見直してみてわかった。

わたしはこのフリーの曲がものすっごく好きなんだ。もともと映画みてて気になる曲あったらその1曲のためだけにでもサントラ買ちゃうほうなんだけど、それゆえぐーんと魅せられてしまったみたい。

 だから4話(フリーの曲とテーマを決めた回)と7話がことのほかずしんとくるんだろう。8話(ロシア大会SP)の意味深な視線のからみとか靴キスとかユリオがじいちゃんのピロシキ食いすぎとかJJ自由すぎるとかマッカチン盗み食いはだめだよ”動物のお医者さん”のミケだってカニに当たったんだぞとか、思うとこはほかにもあるけど。

 9話みるの、どきどきするや。勇利はどんなふうに音楽にのるんだろう。ヴィクトルがいない氷のうえでなにをみせてくれるんだろう。この音が鳴ってるうちは、きっとわたししばらくのあいだ、いろんなことが大丈夫になりそうだ。しょっちゅう琴線にふれて涙もろくはなるかもしれないけれど。
 
 そうだそうだこのかんじ。この心待ちにする感覚。いくらだって思い出しては考える。にやつく。聴く。歌う。時間がたりないよ。1日50時間ぐらいほしい。そういう季節が、やっときてくれた。




posted by 雨屋杜美 | ユーリ!!! on ICE | 更新情報をチェックする

2013年05月11日

あの歌が主題歌だったドラマを覚えていますか?-子供が寝たあとで-

 
泣くな、はらちゃん シナリオBOOK (日テレbooks) ラストホープ DVD-BOX

 毎週たのしみにしていた「泣くな、はらちゃん」も「ラストホープ」も終わり、ぽっかり胸に穴ぼこがあいたまま4月になり、あっというまに5月になった。新しいドラマがはじまってもわたしはさっぱり食指が動かぬままだった。周囲の人々は「あまちゃん」絶賛中。クドカン強し。
 
 今日はめずらしく市バスにのって遠出しようかと思ってたんだけど、熱がひかないので挫折した。おととい焼いた賞味期限が4年すぎたかに玉の素が悪かったのか、かぜっぴきか。どっちにしろ本調子ではない。京王杯に出たシルポートも16着に沈んだ。読み返してるガラスの仮面には野菜ジュースをぶちまけてあわてて拭いた。ぴりっとしない。どうもしっくりこない。むむう。
 
 こういう時こそなにか見よう、そうしよう。ということでみはじめたのが「空飛ぶ広報室」である。ガッキー主演のドラマ。もう5話?くらい放送されてんだよね。原作・有川浩。この作家さんの作品ていっぱい実写化されてるのに読んだことないや。恥ずかしながらついさっきまで男の人だと思ってた。「ひろ」さんで女の人なんだ。
 
空飛ぶ広報室

 まだ視聴は1話のみ。が、その1話で十分だった。雨女、鷺坂正司(54)陥落である。

 説明しよう。柴田恭兵さん演じる鷺坂さんは、主人公・稲葉リカ(新垣結衣)の相手役(に今後なるのであろう)空井大祐(綾野剛)の上司役である! ああ、もうだめだだめだ。よすぎる! 雨屋好み! その立ち位置、あり様、台詞、佇まい。非の打ち所なし!決定! 追いかけよう、追いかけましょう。今期の心のよりどころ、それはあなただ! 主演のお若いふたりは勝手に盛り上がってくれ。わたしは鷺坂さんについてく。



「人生ってのは、出会い、だと思うんだよね」
鷺坂正司

 好きな人みつけるとうれしいなー、たのしいなー。ひゃっほう。あれ、そういえば。と記憶をたぐってみると。柴田恭兵さんて昔々土曜日にドラマやってたさ、三浦洋一さんと。そんで主題歌は槇原敬之だったよね。「もう恋なんてしない」。当時中学生だったわたしは技術家庭の授業のパソコンの時間を使ってこの歌をイメージした絵をかいた。覚えてるよ、目玉焼きとか、紅茶の缶とか、マウスでちまちまと。
 
もう恋なんてしない

 小学校卒業間近のころ、女の子たちの間でプロフィールブックみたいなの交換するのが流行った。ルーズリーフタイプの用紙に趣味だの血液型だの書いてもらうやつ。好きな異性のタイプの欄にわたしは松平健と三浦洋一と書いた。そう、木曜日はさすらい刑事旅情編をビデオに録画し、土曜日はじいちゃんといっしょに暴れん坊将軍をかかさずみる子どもだったの。

 そして20年の月日が流れ。ああ、あのふたりが出てたドラマタイトル、これいかに。ってことで調べてみた。 「子供が寝たあとで」だ、ああはいはい。3人組だったのは覚えてたけど風間トオルさんが抜けてんだよね、これですっきり(ひどい)。山口智子さんまで出てたとは。DVD出してほしいなあ。


 わたしが生まれて初めて行ったライブは槇原敬之さんである。「もう恋なんてしない」が入ってるアルバム「君は僕の宝物」のつぎのツアーだった。「SELF PORTRAIT」だな。あのころはMDですらなくてカセットテープに好きな曲だけダビングして聴いてた。いまの便利さとはほど遠い編集作業だったけど、手間ひまかけたらかけたぶんだけ愛着も増したもんだ。
 
 冒頭のドラマはどっちも主題歌(TOKIOの「リリック」と嵐「Calling」)が好きだった。いまも時々PVをえんえんとリピートして聴いてる。ありがたい世の中だ。歌を聴くとドラマを思い出すし、ドラマの1シーンを回想すればバックには歌が流れる。記憶の中でドラマと主題歌は密接に結びつき、どれだけ長い時間がたとうともそのつながりは断ち切られることはないのだろうと思う。

 さて。ほんとは今日はいっぺん更新したし作文書かないつもりだった。でも新たなおたのしみ(鷺坂さん)をみつけた記念に書かずにはいられなかったんだ。情熱ってすばらしい。ひさしぶりに脇役フリーク魂がふるえている。それではみなさんご存知、この禅問答のような名フレーズを祝いの言葉としよう。

もう恋なんてしないなんて
言わないよぜったい

 


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噛んで喜び泣くがいい。-おのれナポレオン・浅田真央・かぶく者-

 
 おのれナポレオン、宮沢りえを迎えてからの初演が無事終わったそうだ。わたし19時すぎからずっとそわそわしっぱなしで、21時ころからごはんもりもり食べながらも気になって、ああどうだったんだろううわーってひとりで盛り上がってた。結局、前回の作文を書いて以来読んでるガラスの仮面は「忘れられた荒野」の突入。マヤは狼少女ジェーンをつかむのに必死。

 21時半すぎたあたりで観に行ってた人の言葉がぽつぽつ、ネットの海にどんぶらこっこと流漂い始めた。りえさんとまわりの俳優さんたちの好演について。役者が変わったからこその台詞のやりとりについて。何度もあったというカーテンコールについて。その場に満ちた拍手について。
 
 読んでるうちにじわじわきて、わたしは玄米ひじきごはんとコロッケをいっしょに頬ばりながらべそべそ泣いた。うれしいのに泣けてくるのだ。その場にいたわけでもないのに、そこにいた人の気持ちを想像してはますます泣けてくる。ごはんもおいしかったんだなこれが。生協のレンジでちんするコロッケがさくっさくでさ。豆腐とおあげとえのきのおみそ汁もちょうどいい塩梅で。
 
 おいしいしい、うれしいし、すばらしかったらしいし、言うことなしだった。泣くのも噛むのも飲み込むのも気持ちが良かった。すごいなあって。ああ、もう今思い出してもじわじわくるぞ。いい時間だった。待ってるあいだも、はらはらするのも、安心するのも、みんなひっくるめて。

 
 2010年3月。イタリア・トリノで行われたフィギュアスケート世界選手権。浅田真央選手の演技をわたしはいまもたびたび見返している。浅田選手はこの大会の優勝者。ショートの「仮面舞踏会」は言うことなし、オリンプックではミスが出たフリーの「鐘」もシーズン最終戦にふさわしい滑り。あの時「こんなにもいいものをみせてくれて、ありがとうね」と思った。おなじくらい「いいもの受け取るだけ受け取って、なにもかえせなくてごめんね」って申し訳なくなった。
 
 似てるなあってね、思ったんだ。おのれナポレオンのりえさんと、トリノワールドの真央ちゃんが。「ここまでやれるんだ!あんなとこまでいけちゃうんだ!」って感じるものやできごとにわたしは弱いみたい。驚愕+畏敬+感謝+恩愛+憧憬がまざりあった総合的な「すごさ」。うう、なんかまだまだひと味もふた味もたりないような。
 
 演じる者、生み出す者、作りあげる者、見届ける者。それぞれの力や思いが集約され結晶になって、その時は訪れる。そこにはどんなエネルギーに満たされているんだろう。昨夜劇場に居合わせた人たちが、どんなふうに見て感じたのかを、わたしは知りたい。

かぶく者(5) (モーニングKC)
 
 「かぶく者」5巻で作者が描きたかったのがきっと昨日みたいな舞台なんじゃないかと思う。主人公・新九郎と歌舞伎界の御曹司・銀之介。連獅子という演目でふたりは共演する。才能と修練。共に舞台に立つ役者を信じ、そして「見物の気」=観客と一体になって舞台を創造するということ。

その後も舞台は日を追うごとに親しみと祝福に満ち溢れていき
これを見れば「病気が治る」「長生きできる」
そんな評判までもが出始めた頃
十月花形歌舞伎「連獅子」は全公演を終了した
 
 おのれナポレオンの楽日は12日。
 のちのちまで語り継がれる舞台になるのはまちがいないだろう。
 

posted by 雨屋杜美 | まんが-作者が男 | 更新情報をチェックする

2013年05月10日

宮沢りえと北島マヤ、その女優魂。-「おのれナポレオン」と「ガラスの仮面」-

 
 昨日から、ずっとどきどきしてる。三谷幸喜の舞台「おのれナポレオン」の準主役・天海祐希が体調不良により降板。代役を宮沢りえがつとめる、というニュースを見てからずっとである。
 
 ひとつの芝居のなかで台詞がどのくらいあるか。役によっても違う、そりゃ一概にはくくれないだろうけど、とにもかくにも三谷幸喜作品。少ないわけがない。それを一日二日で入れて、立ち回り覚えて、舞台に立つなんてそんな離れ業、しようと思ってできるもんなのか?
 この展開…なに?ガラスの仮面? 北島マヤ登場?

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 わたしがいままでみてきたドラマや映画のなかでいちばん台詞が少なかったのは映画「トイレット」のもたいまさこの役だ。そういう意図だったのはわかるが、もうすこししゃべらせてもいいんじゃないかと思った。なんでもかんでもひき算すればいいってもんでもないだろう、と。

 演じるのがあの無口なばあちゃん(もたいさんの役ね)であるならば、代役お願いします→はい、お引き受けします→明日の夜から舞台立ちますってのも可能だったろう。だが、しかし「トイレットは映画であり、「おのれナポレオン」は舞台である。

 わたしは人生で2回しか舞台をみたことがない。1回は中学生のころに学校の課外授業のようなので「よだかの星」のミュージカルを。もいっかいは地元のホールで上演された佐野史郎と安達祐実のふたり芝居だ。それ以外記憶にない。それくらい舞台とは遠いところで生きてきた。

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 演劇を舞台にしたまんがっていったら「ガラスの仮面」のほかには「明日の王様」「カーテン・コール」「THE STAR」くらいしかぱっと出てこないな。「芸能界もの」はたくさんあるけどなあ。、舞台ってやっぱりべつものなんだろうな。撮り直しなんてできない一発勝負。なまもの、いきもの。
 
 公演はチケット売りきってる上に全国の映画館でライブビューイングも予定していたそうで、代役決定のニュースをわたしがみたのが5月8日の昼ころ。8日夜、9日昼の公演は中止、そのまま9日夜の初演=ライブビューイング、という気が遠くなりそうな日程…りえ、おそろしい子!

 結局、りえさんの初演は明日10日の夜からに決定したらしいが、それでも、それでもすごいわ。すごすぎるわ。ちょろっと検索したところによるとりえさんは台詞おぼえがとてもいいそうだ。「おのれナポレオン」も観劇しており、主演の野田さんと共演経験もあるために声がかかったという。
 
 今回の役には、もれなくピアノとフラメンコまでついてくるそうな。ピアノはどの曲演奏するかまではしらないけどこないだ「神様のボート」で葉子役したばっかりだしなんとかなるんじゃないのかな。わたしは見てないがピアノ講師がへたくそだったら困るドラマだし。というわけで、フラメンコ。ここが肝心なのではないか。共演する俳優さんはみんなベテランさんだし、脚本もいくらか手を加えるのかな。

 ちなみにピアノとフラメンコのことを知った時、わたしの頭をよぎったのは亜弓さんだった。紅天女のエチュードだ!梅の谷でマヤの(いつもの)憑依演技をみて自信喪失した亜弓さんが、舞台での表現力・その技術においては自分のほうが圧倒的優位に立ってるのに気づいた、あのシーンである。

 努力の人・亜弓さんは日舞もダンスもパントマイムもプロ級。かたやマヤの武器は台詞入りの早さと役になりきる、その憑依体質=役者としての本能。たとえば今回の代役を亜弓さんがつとめるとしたならそれはそれは素晴らしい仕事を見せてくれたことだろう。

 おお、ちょっと待て、さらに上をゆく適任がいるいる!イサドラ・ダンカン演った人。あの人だったら台詞さえ入れば歌って踊れるし、ピアノもほいほいいけるんじゃないか。だって星歌劇団の大スターだったんだもの!そうそう、円城寺まどかね。天海祐希に経歴もタイプもそっくりだしな。名前、すぐ出てこなかったけど。

 では、マヤは?。無理だろう。まあ、それ以前にオファーすらこないか。フラメンコ踊りこなしてるマヤなんてまったく想像できない。アルディス演ったから社交ダンスならいけそうだけどな。いつまでたっても魚焦がしてるしな。未来に期待するのも限度があるんだぜ、マヤ。

 とまあニュースみて以来、あれこれ妄想してたらくたびれた。舞台上がるわけでもないし、みにいくわけでもないのにあほか。あほだな。仕方がない。ここは読書である。わたしは読んで念じて、応援しようと思う。
 
 ガラスの仮面のなかでマヤが誰かの代役をつとめるのは、ざっとひっくりかえしてみたところ2回。ちがってたら申し訳ない。1巻から読むと止まらなくなるし今回はあそこらへんか?ってあたりをかいつまんでみた。

ガラスの仮面 (第9巻) (花とゆめCOMICS)

 「夢宴桜」千絵役。階段から落っこちた人の代役。お母さんをさがして雨やどり中、速水さんに捕獲された上、かんたんに口車にのって出演依頼を受ける。「あと45分…」台詞を入れるときは電話の音も聞こえないのである。その集中力たるや、共演者たちもびっくりだ。

 ところがせっかく覚えた台本は、いやがらせによりすりかえられたもの。誰より取り乱す速水さんを「いったん舞台に出てしまえばもうどうにもなりません!」と一喝する水城さんがすてきだ。マヤ、口にゆりをくわえて「なんとか」する。その後亜弓さんとのがちんこバトルにより無事出番終了。

ガラスの仮面 (第17巻) (花とゆめCOMICS)
  
「夜叉姫物語」乞食のトキ役。
盲腸になった人の代役。亜弓さんがカーミラで悪役のりさんをこっぱみじんに。そのころマヤは雨にうたれてぬれねずみ。速水さん必死の看病により回復するも、今度は逃亡を図る。契約解除と引き換えに得た代役、それがまたもや亜弓さん主演の舞台の端役。泥団子でおなじみのトキちゃんだ。

「これが最後だな チビちゃん
 しっかりやってこい ここでみている」
「さようなら」

 このマヤが舞台に出てく直前の見開きのシーン、好きだなあ。速水さんはいつみても煙草吸いすぎです。マジシャンばりに突拍子もないとこからバラの花取り出すしな。ここはドラマでも忠実に再現してたのかなあ。田辺誠一さんははまり役だった…。野際さんの月影先生も素晴らしかった…。
 
「おらあ、トキだ!」
ジャリジャリジャリ 

 ああ、もう今日になったぞ。あと18時間ののち、「おのれナポレオン」は新たな役者を迎えて動き出す。やっぱりどきどきするわ。どうか演る人たちにとっても、観る人たちにとってもすてきな舞台でありますように。最後は月影先生の16巻の台詞でしめくくっていただこう。

わたしはあの子の
女優としてのすべての素質にかけたのです…!
 


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